[企]*white valentine*
それからお客さんの注文もなく、チサと一緒に蓮さんの様子を窺っていると、時計を確認した蓮さんが伝票を持って席を立った。
「あ!私、レジ行ってくる!今度いつ来るか聞きたいんだ」
チサは行動が早い。
私はレジに向かって進めていた一歩を元へ戻し、代わりに聞き耳を立ててしまう。
「蓮さん、来てたんですね。今日も徹夜ですか?」
「うん、そうなんだよ。明日には出来てると思うからさ。楽しみにしててー」
聞き耳だけのつもりが、やっぱり二人が気になって横目で見る。
チサに向かってにっこり笑う蓮さんがいた。
別に蓮さんが誰にでも愛想がいいのはもうわかっていたこと。
私だけの笑顔じゃないし、彼氏でもないし……。
だからなんてことないはずなのに……なんで私は唇を噛んで、眉も寄せちゃって、胸が苦しいんだろう……。
今の私、きっと最高に不細工だよ。