僕らの赤い糸は最初から


「遥って女の子みたいな名前だねェ♪」


担任に頼まれて、プリントを運ぶ途中、

突然の言葉に俺は驚いた。

確かに昔は馬鹿にされたこともあったが、

最近はそんなこともなくなっていた。

まさか、この年になってまで、

直接言ってこられるとは思ってもいなかったのだ。


「…あ、あぁ、よく言われる。」


なんとか返事を返す。


「でもさ、かっこいよねー!!」


…何なんだ。

何が言いたいのか分からない。


「だって〝遥か〟だよ!!??
 なんかすごい人って感じするなぁ…。」


一人でしゃべって、

一人で納得している。

こいつ…、面白いじゃん…。


「…くっ。」
「あ!!!」


俺が少し笑うと、渡草に指を差された。


「わ、笑った!!」


わぁ、と言って、

嬉しそうにはしゃぐ。

俺には何の事だかわからなくて、

首をかしげた。


「遥ね、全然笑ってないんだよ??
 って言うか、
 笑ってる所学校で見たことないし、
 笑わない人かと思ってた♪」

「もう名前呼びか、
 つーか、俺だって笑うわ。」


いつもの無愛想な声で答える。

人の事をなんだと思っているんだ。

笑わない人間なんて、

本当にいると思っているのか。

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