僕らの赤い糸は最初から
「だって、一度も見たことないんだもん。
あたし一年時から知ってるけど、
一度もだよ!!??」
すごいものを語るように言う。
「一年の時から…?」
確かこいつ、クラスは違ったはず。
俺の事を前から知っていたのか。
「うん、だけどビックリだなぁ…。
でも…、似合うね。」
「何が??」
俺は素朴な疑問を返した。
「ん??笑った顔が似合う♪」
その時、俺は不覚にも油断していたらしい。
その答えに、少し自分の頬が熱くなるのが分かった。
「…どうも。」
「あぁ、また仏頂面になる――!!!」
人にそんな事を言われたのは初めてで、
何と返したらいいのか分からなかった。
ただ俺はその時の顔を見られたくなくて、
必死に平静を装った。