僕らの赤い糸は最初から

絵里side

あたしが初めてあの人を見たのは、

高校の入学式のときだった。


「ねぇ!!??
 あの人超カッコ良くないっ!!??」


親友の朱莉の声にそちらを向く。

そこにいたのは、〝美少年〟、だった。

キラキラしていて、

そこだけ画質が違うように見える。

ただ、あたしは朱莉とは違う理由で、

その人から目が離せなくなっていた。


『無関心』


その表情が語るものは人への関心の無さ。

それも、周りを過ぎゆく人が、

まるで見えていないような…。

だけど、確実にあたしは感じ取った。

その人から発せられる、
とてつもなく大きな、


『寂しい』


と、いう感情を。


それから、気付くと目で追っていて、

「好きなのか?」と聞かれたが、
正直分からなかった。

昔から、人の感情を読み取ること、

表情豊かな性格には、自信があった。

しかし、

どうも自分の本心と向きあったり、
ということが苦手で、

本当はどう思っているのか、

自分でもよく分からなかった。

でも、気になった。

あの「寂しさ」がなにから来るものなのか、

知りたかった。

というか…、

基本お節介のあたしにとって、

あれは気になる。

ただ、それだけの事なのだ。

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