僕らの赤い糸は最初から


学級委員になって、

初めて遥の笑顔を見た。

ただ、綺麗だと思った。


「笑顔似合う♪」


気付いたら口から出ていた言葉。

でも、本気でそう思ったんだ。

あたしが学級委員になったのは、

遥のそばにいるため。

これがもし、「恋愛感情」なら、

それはそれでいいかもしれない。

そう思えた。


「最近、有坂君と仲いいじゃんw
 何??ついに、絵里にも春が!!??」
「んなわけないじゃんw
 あたしにそんなことあると思いマス??」


からかわれてもスルーできる。

だってまだ分からないんだ。

好きであったとしても、

あたしの態度はきっと変わらない。

だから、今は考えないことにする。

遥のファンも多いしね。


「なんだぁ…。
 絵里の春は遠いねェ…。」
「なんで!!??
 別に遠くはないよ!!??」


今はこの、平凡な日常が嬉しいから、

あたしは特別は求めない。

遥の彼女って言う特別な立ち位置は、

あたしじゃなく、他の子の方が似合うし。



「おい、渡草。仕事頼まれたんだから、
 手伝えよ、ちょっとは。」
「うわ、遥っ!!」


気がつくと、そこには遥が立っていた。


「人に押し付けて、教室に戻ってんな。」


…怒られた。

遥に仕事を押し付けたのは事実…、

認めないわけにもいかない。


「すみませんでしたっ、
 今後は押しつけて、そばで見てます!!」
「おい、それ結果俺が仕事してんじゃねーか。」


こうやって、

あたしの日常は、平和に過ぎていく。
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