オフィスの甘い罠
課長はああ言ったけど、
毎日誰だってできる雑務を
してただけだ。

特に引き継がないといけ
ない業務なんてない。



あたしは机の上や引き出し
から私物だけをバッグに
つめ込み始める。



周りはもう仕事が始まって
るし、うちの課長も席に
いるから大っぴらには
こっちに集まってきたりしない。



だけど相変わらず視線は
あたしに集中してて、
うっとおしいったらなかった。



と、隣の席の同僚が小声で
囁いてくる。



「おめでとうございます。

すごいですね。

保険の書類届けに行って
スカウトされるなんて、
超シンデレラストーリー!」



(……シンデレラ?

あるイミそーかもね)



王子に見初められて姫に
なるんじゃなくて、性悪な
姉にこき使われるって部分でね。
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