オフィスの甘い罠
大きな窓ガラスの向こうの
――そこにあるのかどう
かもわからない何かを、
ジッと見つめてる。




『アンタの今の世界も、
面白くないの?』




口をついて出そうになった
言葉を、あたしは飲み込んだ。



無言で遠くを眺める柊弥の
横顔は、なぜかほんの少し
だけ、さみしそうに見えて。



言葉をはさんじゃいけない
ような。

――そんな気が、したんだ……。





     ☆☆☆☆☆



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