オフィスの甘い罠
非現実の中で繰り広げる、
男と女のゲーム。



あたしはその面白さの
虜になって――…

その夜以来、《紫苑》は
もう一人のあたしとして
定着した。



《梓》の毎日に飽きたり、
何かムシャクシャした
時には、必ずAphroditeに
出勤する。



そこでおいしいお酒を
飲みながら思う存分もう
一人の自分を演じてると、
不思議とストレスも吹き飛んだ。



「さてと。

今夜はどんな夢が
待ってるかしら」



あたしを待つ男とあたしに。



紫苑の顔で笑って、今夜も
あたしはつかの間の夢に
胸を踊らせた。





     ◇ ◇ ◇



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