オフィスの甘い罠
「いらっしゃいませ金城さん。

お待ちしてましたわ」



久しぶりに会ったのも
あって、いつも以上に
満面の笑みで席につく。



「おぉ、紫苑!

待ちかねたのはこっちだよ。

どれだけぶりだ?
本当にお前は、たまにしか
いないんだから」



「ごめんなさい。

でも、だからあたしも
お会いできてホントに
嬉しいのよ」



艶っぽい声でそう言って、
あたしは金城さんに
水割りを作り始めた。




この銀座で貿易会社を
経営してる金城さんは、
40代なかばの気さくなオジサマ。



あたしが入る前からこの
店の常連で、他の客の
多くと同じように、趣味と
ビジネスを兼ねてよく
利用してくれてる。
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