オフィスの甘い罠
そう言うと柊弥は、荷物を
置いてすぐにまた部屋を
出て行った。



昼休みだからって一緒に
ランチをとったりしない。


基本休憩時間は、
あたし達は別行動だ。



「はぁ…………」



柊弥が出て行ってしばらく
してから、あたしも手を
止めて大きく息をつく。



椅子から立ち上がる気にも
ならない。



食欲もないから、来る
途中に栄養ドリンクを
買っといた。



それを出そうとデスクの
脇に置いてあるバッグを
取って、中を探る。



「あ―――…」



指先が、ドリンクより先に
ある物に触れた。



――昨日柊弥からもらった
万年筆のケースだ。



(今日から使えって
言われてたっけ――)



あたしは吸い寄せられる
ようにケースから中身を
出し、キャップを開ける。
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