オフィスの甘い罠
そっけなく言って、柊弥は
『それじゃあな』と電話を
切ろうとする。



「ちょ、ちょっと待ってよ!」



他人のカードなんて
もらえるわけない。


あたしはとっさに答えて
しまってた。



「わかったわよ、行くわよ!

だからアンタも今すぐ店に
向かって!」



すると柊弥は嬉しそうでも
嫌そうでもない、感情の
よくわからない声で、



『……そうか。

それじゃあまぁ、向かうよ』



それで会話は終わり、
あたしはため息をつき
ながら電話を切った。



(ホントどーゆーつもりよ……)



強引で大胆なところがある
柊弥だけど、カードを
他人に渡すなんてのは
ちょっと次元が違うでしょ。



アイツがそんなバカで
マヌケだなんて思えないん
だけど……。



「はぁ……とにかく行く
しかないか」
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