オフィスの甘い罠
柊弥が勝手にやったこと
なのに、あたしまで共犯
みたいな言い方されちゃ
たまんないっての。



キリキリと眉を吊り上げる
あたしの心を知ってか
知らずか、柊弥は全く
悪びれた様子もなく、  


『まさか支払いだけして
帰って来れないだろ。

あの店で飲むなら、お前
以外に誰が相手すんだ?』



「知らないわよそんなことっ。

誰とでも適当に飲んでりゃ
いいでしょ!」



さらに怒鳴ると、柊弥は
チッと軽く舌打ちして、



『わめくなっての。

お前が行かないなら、
オレも行かない。

何ならあのカード、お前に
やるぜ』



「――――!? 何言ってんの?」



カードあげるって……
本気でイミわかんないんだけど。



ア然とするあたしに追い
うちをかけるように、



『お前でカード切って
くれていいし、返さなくていい。

自由に使え』
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