オフィスの甘い罠
電話ではそんなこと少しも
言ってなかったけど。



つまりあたしに会いたくて
先約の相手と会う場所を
ここに変えちゃったんだ。



「嬉しいけど、なんだか
お相手には申し訳ないわね」



軽く眉をひそめると
金城さんはガハハと笑って、



「お前が気にすることはない。

久々に紫苑に会えると
あっちゃ、来ないわけには
いかないだろう。


それに相手は俺の息子
みたいなもんだから、気を
つかう必要もない」



「息子?」



あたしはキョトンと
首をかしげた。



金城さんはいい歳してる
けど独身だ。
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