オフィスの甘い罠
「っ…………!」



……そんなんじゃない。


あたしは高卒だから
落ちぶれてるんじゃない。



バイトしながら独学で
ビジネススキル勉強して、
派遣でだけどそれなりの
企業に転職した。



それ以来、きっちり仕事の
できるちゃんとしたOL
やってた、こないだまで。



……だけどそんなこと、
彼女に言っても意味はない。



何を言ったって彼女がこう
いう目でしかあたしを
見ないのは、わかりきってる。



あたしが俯いて黙ったまま
でいると、るりちゃんは
さらに楽しそうな声で、



「けど、よくよく見れば
超似合ってるぅ!

そうだよねー、男の人の
相手するのはうまいはず
だよねぇ。

やっぱ素質ってやつ、
あんのかなぁ〜」



「―――――!!」



頬がカッと熱くなるのを感じた。
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