オフィスの甘い罠
なんて言葉を返していいか
わからなかった。



さっきの行動がまるっきり
あたしらしくないことは、
自分自身が一番よくわかってる。



それに、そんな姿を柊弥に
見られてたって思うと
気まずさや恥ずかしさが
ない混ぜになって……

できれば何も聞かないで
欲しい。そう思った。



だけど同時に、柊弥が
あたしとるりちゃんの
言葉をどれくらい聞いてたのか。


……どれくらい知られて
しまったのかは、無性に
気になってしまう。




あたしの心を知ってか知らずか。



柊弥はあたしが何も答え
ないのを見てとると、
また続けて話し出した。



「何があったかは知らねーけど。

とにかく、もうあの店はやめろ。

つーか――もう、夜の仕事
自体辞めちまえ」



いつも通りの当然のような
命令口調。
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