オフィスの甘い罠
震える瞳で見上げたあたしに。



柊弥が返事の代わりに
返したのは――呼吸まで
奪われそうなほどの、熱い
キスだった。



「…………んっ」



時間も場所も忘れてその
キスに溺れるあたしの
体を、柊弥はさらにきつく抱く。



体が折れるんじゃない
かってほどの苦しさも、
今はすべてが愛しいって
ことなんだと思えた。




長いキスの後、柊弥は
あたしの耳たぶに唇を
寄せて囁く。



「お前が好きだ、梓」



「柊弥―――…」



「最初は――そうだとは
思ってなかった。

ただオレと似てるなって
思って、無性にほっとけなくて。

それに……オレにも
ちょっとムシャクシャする
ことがあってな。

言っちゃ悪いけど、
気晴らしのつもりっつーか
……まぁその程度だったんだ」
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