オフィスの甘い罠
(親の仕事手伝うために
留学までしてたくせに、
変なヤツ。

……あ、もしかしたら
ビジネス至上主義のすごい
厳しい家で、仕事手伝う
のも嫌々とか?)



どこかつかめない初めての
客に、あたしはついつい
そんな想像を膨らませ
ながら、いつものように
接客してたんだけど……。



「……………?」



やけに熱心に自分に
注がれる視線を感じて、
あたしはそっちを見た。



視線の主はほかでもない柊弥。



だけどあたしに見とれてる
とかセックスアピールの
つもりだとか、そんな感じ
じゃない。



なんてゆーか……そう、
まるで昆虫でも観察する
みたいにジロジロ眺める、
遠慮ない目線。
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