オフィスの甘い罠
紫苑の顔でそう取り繕うの
には、ちょっとだけ時間が
かかってしまった。




初めてだ……お客にこんな
こと言われたのは……。




「おいおい柊弥クン、
アメリカのお祭り騒ぎの
ノリが染みつき過ぎてるん
じゃないか?

この店で向こうの
パーティーのノリを
求めちゃいかんぞー!」



金城さんが別にフォロー
でもなんでもなく、本当に
そう思ってる顔でワハハと
笑いながら言う。



この人は……ホント、どこ
までもノーテンキで平和な
人だな



だけど今はそのバカさが
ちょうどよかった。



あたしも便乗するように
クスクス笑って、



「イヤだわ、欧米のパー
ティーのノリなんて、
あたし達にはわかりませんわよ」
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