オフィスの甘い罠
そして――信じられない
ことに、そう言った途端
電話はプツッと切れた。



(は――――!?)



あたしの返事なんて、
待ってもいない。



あたしは歩くのも忘れて、
携帯を耳に当てたまま
その場で呆然と立ち尽くす
しかなかった。



(な――んなの、アイツ――!?)



こっちが『ごめんなさい』
って言いかけてるの、
完全にムシして。



しかも、『オレだけの
相手をできるようにしておけ』!?


何よその完ペキな上から目線は?



「冗談じゃないっての……!」



ようやく少し頭の回り
出したあたしは、即もう
一度リダイヤルボタンを押す。


もちろんさっきスルー
された『NO』を言うためだ。



だけど――…。
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