オフィスの甘い罠
「……ふーん。

オレはてっきりウザがられ
てるかと思ってたけどな。

お前、自分の都合のいい
日しか来ないそうだから」



「……………!」



不覚にも一瞬黙り込んで
しまった。



(あたしが自由出勤だって
知ってた……!?

そんじゃ、わかってた
うえで――)



――あんな強引に今夜を
指定して、電話を切って
たんだ……この男は。



(……何よそれ。

なんかの嫌がらせ?)



あたし前回、コイツを
怒らせるようなこと
なんかしたっけか?




「ええ、そうだけど。

それでもあたしに会いたい
から、お電話くれたんじゃ
なかったの?」



内心のイラ立ちを懸命に
押さえて、あたしは可愛く
むくれるような声を作って
言った。
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