オフィスの甘い罠
――――パシャッ!





……耳に届いた、軽い水音。




そして一瞬遅れて、胸の
辺りに冷たい感触。


それと……鼻孔をくすぐる
苦い香り。



この香りは――ウィスキー……?




……すぐには何が起こった
のか理解できなかった。



でも徐々に状況が把握
できるにつれ――あたしは
頭にカーッと血がのぼって
くるのを、どうしても
押さえられなかった。



「な……に……」



今や自分のドレスの
胸やお腹の辺り全体が
ベッタリとウィスキーで
濡れてるのがわかる。



そのウィスキーは、さっき
あたしが柊弥に入れたもの。



そう――…


柊弥が手にしてたグラスの
中身を、あたしにかけ
たんだ―――。
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