オフィスの甘い罠
そう言うとクルリと振り向いて、



「とりあえずルーム
ウェアとガウンは
あるから、着替えろ。

新しい服は、明日ここを
出るまでには届けさせる」



「え―――……」



そのセリフに――ホントに
今さらだけど、心臓が
トクンと震える。



“ルームウェアに着替えて”


“明日ここを出るまでには”



その言葉が意味すること
なんて、考えるまでもない
ほど明らかで……。



(――本気で、今晩二人で
ここに泊まる気なの……?)



新しい緊張が足の裏から
あがってきて立ち尽くすあたし。



それを見て、柊弥はてんで
的外れなことを言ってきた。



「…………?

何不安そうな顔してんだよ?


安心しろ。
ただのボンボンでもここを
支払う金はちゃんとある」
< 56 / 288 >

この作品をシェア

pagetop