オフィスの甘い罠
「だ、誰もそんなことは
言ってないでしょっ」



お金の心配ばっかしてると
思われたのが心外で思わず
言い返すと、柊弥は片眉を
上げておどけた顔をした。



そして一向に動こうと
しないあたしに業を
煮やしたのか、自分で
クローゼットの中に手を
入れると、



「ホラ。

ああ、つってもそのまま
じゃ気持ち悪いか。

いいぜ、シャワー浴びてきて」



柊弥が投げてきたルーム
ウェアを反射的に受け取る。



スベスベした滑らかな
肌触り。きっとシルクだ。



だけどあたしはもちろん、
『じゃあお先に』なんて
言って、その着替えを
持ってバスルームに行く
わけにはいかない。



「―――なんで、こんな
ことすんの?

なんであたしなのよ?」
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