大好きな君にエールを*番外編





「わぁ、美味しそう」


「ねぇ、先輩の美味しそうだよぉ!」


みんながそう言う中、


「これ、誰?ウケる!」


誰かが言ったその中身は、お菓子の詰め合わせ。しかも、お金チョコやチョコっとだけよ♡と書かれているギャグ系のパッケージ。


「あたしだけど、悪い?」


それは、絢子様様からのバレンタインだった。みんなは一斉にシーンとなった。だけど、


「あははっ」


あたしは笑ってしまった。


「な、何よ麻帆」


「いや、このセンスウケるよ!絢子ってこんなキャラだった?あははっ」


バカにしているんじゃない。だけど、意外な絢子に驚いて笑いがこみ上げてきたのだ。


「嫌なら食べるな」


「嫌なんて言ってないよ!ほら、ちょうだい!みんなも食べるでしょ?」


はい!っと絢子からのバレンタインに手を伸ばすみんな。そして、堪えきれなかったのか……全員大爆笑。


「もうやんない!」


拗ねる絢子だったけど、照れ臭そうだった。それから顧問の元へも行き、みんなから愛情たっぷりのバレンタインを渡した。

「麻帆」


「ん?」


「さっきはありがとう」


絢子がこそっと言ったその言葉。最初は理解できなかったけど、何となくわかった。


お菓子、本当はみんなを笑わせようとしたんだよね?絢子、本当に考えてるよ。





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