大好きな君にエールを*番外編
母さんの腕はとても小さく感じた。こんなに小さな体で俺を育ててくれたんだなって思った。
「元気」
反対側からは父さんが力強く抱きしめてくれた。憧れだった父さんもいつの間にか小さく見える。
「ごめん……2人とも……ごめん」
「謝る理由なんて……ないでしょ?っく、元気は元気らしく野球をしてきたじゃない」
「そうだ。お前は、自慢の息子だ」
中学を出て花龍に来た。毎日、ウザいと思っていた親と離れ離れになった。それが、少し寂しかった。
温かい。やっぱり2人は温かい。
「二度と……選手として甲子園で戦うことはないんだよ?」
「いい。お前が生涯、野球を失わなければ」
今が大切だった。
これからなんて、いらない。
高校生で甲子園に出場する今が……欲しかった。