大好きな君にエールを*番外編
それから、シゲの言うように野球を楽しんでいた。花龍の勝利へ導くように願いを込めて、叫びながら応援をした。
カキーン
花龍からホームランが出た。スタンドは今まで以上に盛り上がりを見せた。
さらに、もう一つ後にも
カキーン!
花龍から2本目のホームランが飛び出した。
「お前らー!勝てっぞー!!」
シゲから嬉しい、その思いが溢れている。応援席からも同じように喜びの声があがっている。
いっぱい応援をした。声が枯れるくらいに、咳込むくらいに、自分が壊れるくらいにエールを送った。
シゲの願いが、みんなの願いが届きますように。そう、祈りながら。
「ゲームセット!」
でも、神様は叶えてくれなかった。
花龍は、負けた。
花龍の夏は、初戦で終わってしまった。
だけど、
「…………よかった」
シゲの口からはこの言葉がこぼれた。