大好きな君にエールを*番外編
拍手はより大きくなり、感謝の声が飛び交った。そんな観客の姿を見て、選手たちは帽子を深く被ったり俯いたりしている。
「シゲ、あれって……」
「男のプライド」
「プライド?」
「悔しくて嬉しい。そんな中で泣くのは恥ずかしいんだよ」
シゲは今までどんな世界を見てきたんだろう。ねぇ、今すぐじゃなくていいから、いつか教えてくれる?
そして、観客もちらほら帰りだした頃、
「実貴、まだ時間大丈夫か?」
「え?うん。どうしたの?」
「アイツらんとこ、行きたいんだけど、いいか?」
愛しそうに、選手がいた一塁側のベンチを見つめるシゲ。そんな顔しないで。
「大丈夫だよ!最初から行くんだろうなって思ってたから、時間も調整……」
「サンキュー!」
ギュッ
あたしが言い終わらないうちに、そう言って抱きついてきたシゲ。
「シ、シゲ!?」
「やっぱりお前のこと好きだわ!」
へ?