大好きな君にエールを*番外編
─────…そして数日後、地区総体を迎えた。今日は倉橋も他の部活動は全部大会だ。
緊張に駆られながらも、青く光る大空を見上げた。一羽の鳥が優雅に飛ぶ。逞しいその姿が瞼に焼きついた。
俺は、4番でキャッチャー。おいしい打順にポジション。
マスクをかぶる。ピッチャーは細い体つきのくせに、俺のミットをめがけて豪快な球を投げてくる。
何人もの三振を奪い、バッターの嘆く声を聞く。それが俺たちの勝利を示していた。
『準優勝』
決勝まで勝ち残ったが、遠方の野球部に負けた。…ハッキリ言ってピッチャーが凄かった。
ほぼ無表情だったけど、バッティングセンスもピッチングもよくて…永なんとかって名前だった。
─────…それがあの永松だと知るのは、まだまだ先の話。
「この試合は終わりじゃない。始まりの試合だぞ」
監督が涙ながらに言った。俺も我慢できず、仲間と肩を組みながら悔やんだ。