大好きな君にエールを*番外編





「俺さ、倉橋に告っちゃった」


それは帰る準備をしていた時だった。三船がクラスの男子にコソッと話す声が聞こえた。


「マジかよ!で、返事は?」


「それが今日なんだよー。放課後教室でって約束でさ」


「じゃあ、みんな早く教室から退散しなくちゃなっ」


今日……放課後……約束?


「……康…」


「春、俺たちも帰ろう」


「でも…」


「だって、三船たちのおとりこみ中に遭遇したくないし」


鞄を手にしてみんなの流れに沿って教室を後にする。ふと、目の前に倉橋がいた。


「あ…荒嶋く…」


「バイバイ、倉橋」


バイバイ、俺の恋。


伝えることもなかった。呼び出したくせに…情けない。明日の朝にでも靴箱に、昨日はごめん、の手紙を入れておこう。


玄関の靴箱へ行き、靴へ手を伸ばす。


「……ん?」


ふと、何かに気づいた。






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