彼の視線の先、彼女。
「壱稀・・・っ。わた、し」
「・・・うん」
切なそうに笑うから苦しくなる。
胸がギュってなるような、けれど甘い感覚。
「嘘なの・・・っ、本当は今でもずっと」
目の前に壱稀がいた。
木の脚立はそこらに転がっているのが横目で見えた。
「好き、としか言わせないよ?」
「・・・っ」
妖しい笑みを浮かべそっと近づいてくる。
鼻と鼻がぶつかり合ってそこに意識が集中してる。
自分でも顔が赤くなるのが分かった。