彼の視線の先、彼女。








「なんか、2人で話すの久しぶりだな」





そういってニカッと笑う彼は純粋無垢。

昔と変わらない、私が好きだった笑顔のままだった。







「そうだねー。中学のときはあんまり関わらなかったもんね」



見つめるだけの期間。




好きで好きで仕方ないけど、何一つ出来なかった地味な生活。




その時、少しでもアクションを起こしていたらと何度も後悔した記憶がある。







「瀬璃は・・・、気づいてるよな」



「ん?」




言いづらそうに目を逸らしゆっくりと話し出した。



その彼の表情は、何より辛そうでさっきの笑顔なんてどこかへ消え去ったようだった。







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