彼の視線の先、彼女。
「爽香さ、永井のこと好きなんだ」
チクン
そんな小さな音が聞こえたようだった。
「あ、うん。し・・・ってた」
声が震える。
彼は無表情で淡々とそう言った。
こんな事言いたくないはずなのに、彼は話を続ける。
胸が焦げるくらい、熱くなった。
彼の冷たくなった瞳を見るとどうしようもなく泣きそうになった。
「ごめん、瀬璃を傷つけるつもりじゃねーんだよ。アイツも」
「へ・・・?」
申し訳なさそうに下げられた眉。
その意味が、全くといっていいほど分からなかった。