コスモス
「そのかわり」
僕は明日可の顔を覗き込む。
「会いたい時は、絶対連絡しろよ。遠慮はなしだからな」
一瞬驚いた顔を見せたが、すぐにいつもの笑顔に戻った。
「了解しました!」
「…てか、連絡してよね。あんまほっとかれると寂しいじゃん」
「あははっ」
明日可の笑い声が響き渡る。
僕もつられて一緒に笑う。
こうやって笑いあえることが、今、一番幸せだ。
…病院を出て、日が暮れかけた道を歩く。
ふいに突っ込んだポッケから、僕はそれを取り出した。
誠さんに話を聞いた日から、肌身はなさず持ち歩いているそれ。
黄色いカード。
ドナーの意思表示カードだ。
それが気休めでしかないことは、百も承知だった。
それでも僕は、持たずにはいられなかった。
…それは一種の願掛けだった。
明日可のドナーは、きっと見つかる。
そう、信じていたかったんだ。