コスモス
僕たちの間に体育のかけ声が響く。
しばらくの沈黙の後、カズが口を開いた。
「…俺、そんなに重大な問題じゃないと思う」
意外なカズの一言に、僕は顔を上げた。
相変わらずフェンスの外を見つめたまま、カズは続ける。
「だってさ、行った方が瀬堂の病気にとってはいいんだろ?」
「ああ…」
「だったら行くべきだよ。」
あまりにあっさりとした答えに、僕は戸惑いを隠せない。
そんな僕をチラッと見た後、カズは話し始めた。
「あの日…お前と瀬堂がいなくなった日、俺マジで考えてた。…お前、帰ってこねぇんじゃねぇかって考えてた」
カシャンと、フェンスの音がする。
カズは、フェンスに足をかけて揺らしていた。
「…ほんとに、二度と会えねぇんだってリアルに考えて…で、怖くなった。…すげぇ、遠い世界を感じた気がした。その日に比べたら、今日の話は全然近ぇよ。アメリカだろ?実在する国じゃん。行こうと思えば行けるだろ」
一息ついて、僕の方を向く。
「俺が感じた遠い世界は、簡単には行けねぇだろ」