コスモス


……………

すり抜ける風が一気に冷たくなる、9月の終わり。


「じゃあ、今は文化祭の準備だ」


ミキの持ってきてくれた柿の皮を剥きながら、明日可は言った。

「うん。まぁ3年の俺らは関係ないけどな」

剥き終わった柿に手を伸ばし、一気にほおばる。
甘い汁が、口の中に広がった。

「そっか…。それもそれで寂しいね。まぁ、受験もあるし仕方ないか…」

明日可も自分の剥いた柿を、一口かじった。


学校は丁度文化祭の準備期間。
3年の僕たちは自主参加なので、参加しない人は家で自習だ。

もちろん受験組は自習になるわけだが、この期間に少し息抜きをする生徒も多い。

ギリギリの僕に息抜きする時間なんかないのだが、あの日だけは丸一日明日可と一緒にいようと決めていた。


去年の文化祭の日。


…僕の、誕生日。



「シュウももう18歳かぁ…」

色づいた桜の葉を見つめながら、明日可が呟く。

そんな明日可を見ながら、僕はある決意を固めていた。





…あれから一度も出ない話題に、けりをつける決意を。





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