コスモス


……………

家に帰り、僕はカバンの中からあの包みを取り出した。

コトンと音をたてて、机に置かれるそれ。

僕はその箱を見つめながら、軽く深呼吸をした。


…ちゃんと、言おう。

僕の気持ちを、明日可に伝えよう。


僕は箱を、そっと机にしまった。




…そうして僕等は、あの日を迎える。

今でも忘れることのできない、あの日を。














…「あらシュウ君。来てくれたのね」
「あっ…こんにちは」

病院の廊下で、紙袋を持った明日可のおばさんとすれ違った。

「明日可、さっき検査終わったから。病室にいるわよ」
「そうですか」
「これ、洗濯物。そろそろ冬服持ってこないとね」

少女の様に笑い、おばさんは家へ帰って行った。
おばさんの笑顔は、明日可のそれとよく似ている。

そんなことを思いながら、僕は病室の扉を開けた。

明らかに不機嫌そうな明日可が、そこにいた。

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