コスモス

「俺だって嫌だよ。1分1秒でも長く、明日可と一緒にいたいよ。でも…」

僕は目を逸らさなかった。

「でも、それで明日可の病気は治るのかよ?そうじゃねぇだろ?」

目を伏せる明日可の手を握って、僕は続けた。

「『今』だって大事だよ。先の見えない将来よりも、見える今のが確実だよ。…でも、その今を守りたいがためだけに、未来の可能性は切り捨てたくないんだよ」

握る手に、力を入れる。


「…未来の可能性が少しでもあるなら…アメリカを選べ」



僕等に未来があるのなら、僕はそれを信じたい。

ほんの少しの可能性でもそれが0じゃないのなら…選ぶべき道は、決まっているんだ。



今にも泣きそうな明日可の声が、病室に響いた。

「…だって…。もし行って、それでもし…帰ってこれなかったら…。もし向こうで…助からなかったら…」
「俺が行くよ」

濡れた瞳が僕を見つめる。


「明日可が帰って来れないなら、俺が明日可のとこに行く」


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