コスモス


……………

修平が去った後、明日可はその場に佇んでいた。

遠くで先生の声が聞こえる。学校という場所が、自分と余りにもかけはなれている様に感じる。


修平が座っていた非常階段を、焦点の合わない目で見つめた。
すれ違った時に聞いた声が、明日可の胸を締め付ける。


「…これで、よかった」


声にならない声で、明日可は呟いた。

風がそっと、修平の残り香をさらっていった。














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