終ワラナイモノ①

最高?の誕生日

――――――

「まぁ、今からしてみれば笑い話だけどね」

『はぁ、本当最悪。

なんで人のトラウマになっていることを…』

あたしはお冷を飲みながら言った。


「あ、ゴメン。
メニュー決めてなかったな?」

『いや、話しながら決めたけど』

あたしは手に持っていたメニューを置き、たまたま近くを通りかかったウェイトレスさんに自分のを注文した。

『拓海は?』

拓海はメニューを指しながら
「じゃあこれで」
と一言。

「かしこまりました」

ウェイトレスさんはメニューを繰り返し、
「少々お待ち下さい」
と言うと、あたしたちの前からいなくなった。


ん?
…なんか少なくない?


『足りるの?』
と思わずあたしは聞いた。

「どっかの誰かさんみたいに食わないから」

『はいはい』

いつだったかの拓海のようにそれを受け流した。



あ、そういえば…
拓海に夕飯のこと聞かないと。
今がチャンス。


『拓海さ』


「…何?」
他のメニューを見ていた拓海が顔を上げた。

『拓海って…
か、彼女いるじゃん?』
やばっ…噛んだ。

「いるけど?」

『あたしより彼女とかに夕飯作ってもらいたいんじゃない?』
唐突すぎたかな?

「いきなり何言い出すの?」

『でも「俺は別にあいつに作ってもらいたいなんて思わないけど?」

拓海があたしの言葉を遮って言う。


…?


『あの…彼女さんと仲悪いの?』


「仲悪かったら付き合わねぇだろ。

何?もしかして妬いてる?」


うん。
ちょっとだけ図星。

まぁそんなこと言えないよね。


『別にそういうんじゃないし。

ただ、彼女でもないあたしが作った夕飯でいいのか聞きたかっただけ』




すると拓海がハァと溜息をついた。

「今更何言い出すかと思えば…

お前、なんか遠慮してない?」
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