終ワラナイモノ①
そして拓弥から視線を外し、俯いた。






コンクリートの地面に、薄っすらと染みができる。







あたしは必死に瞳からあふれ出るモノを拭った。






拭っても拭ってもソレは溢れ出た。





そしてだんだん足音が近づいてくる。





来ないで拓弥、慰めなんか要らないよ。








慰められたら余計…虚しくなるから―…







足音はあたしの前で立ち止まった。

『あははっ…タイミング悪いよねあたし。別にカレカノなんだから仕方ないのにね』





あたしは俯いたまま、出来るだけ明るくそう言った。







「…無理に笑うなよ」








その声の後、あたしはシトラスの香りに包まれた。






「俺なら無理に笑わせたりしない」






ギュッと拓弥の腕の力が強まる。






「俺にしなよ」







『拓…弥?』
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