砂糖菓子
「先輩、沙弥には先輩しかいない。嫌いにならないで、お願い。」

先輩しかいないんだ。 

先輩しか・・・ 


先輩だから笑顔でいられる。 


先輩だから。 


やっと言えた。

沙弥の本当の気持ち。 


素直な気持ち。 

先輩には届いたかな? 


届くまで伝えたい。 


先輩、大好き。 


「沙弥、ゴメンな。」

首を横に振るしかなかった。 


先輩は悪くない。 

だって沙弥こんなに笑顔でいられる。 

沙弥がもっと素直にならなきゃ。 


先輩が笑顔をくれるように、 


沙弥が先輩を笑顔にしたい。 


「沙弥。」


『チュッ』


先輩が名前を呼んだ。 

優しく抱きしめてくれている。 

短く、触れるだけのキス。

怖い事なんて忘れてしまう。 


先輩の温もりが


全てを安心にかえてくれるんだ。


でも、 


先輩は違うよね? 


沙弥は言わないといけない事があるね。 


先輩は沙弥を好きでいてくれるかな? 


「先輩、沙弥ちゃんと言う。沙弥、・・・」
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