とある彼女のじれじれ彼氏
それから数時間後、リビングには酔っ払いの大人だけになった。
ふすまを通して隣には子供たちが太鼓の鉄人をしている。
私は相変わらずジュースだけを飲み続けている。
「さく、ビール持ってきてぇ~」
「あ、おつまみもぉ~」
とすっかり出来上がった姉妹たちに言いように使われている。
「朔夜ごめんね、これ持って行って」
キッチンでは母がせわしなく手を動かしていた。
「母さんも行こうよ、そんなの気づいた人がやればいいんだよ」
「ん~、でもやっぱりねぇ、みんなに楽しくのんでもらいたいじゃない」
柔らかく頬を緩める母。
「そんなことより、朔夜今日約束があったんじゃない?さっきから時計ばかり気にしてるけど」