アイドルまっしぐら!!
「……こんにちは。」



私がリビングに行くと、すごく優しそうな表情の男の人が座っていた。




「君が中山里奈さんかな?」




「……はい。」



「そんなに怯えなくてもいいよ。取って食べるわけじゃないんだから。」



その人はそう言うと、懐から名刺を出した。



「橘(たちばな)です。」



「……すみません。」



私はその名刺を受取ると、橘さんの前に腰を下ろした。




「……急に押しかける形になって申し訳ない。こちらも少し急いでいて。」




「はい。」




「単刀直入に聞きます。中山さんは良介と付き合ってるんですね?」



「……はい。」



「で、別れるつもりもないと?」



「……最初は、決してそういうつもりはありませんでした。私がりょうく……良介くんの障害になるようなことがあるとしたら、別れなくちゃいけないと思っていました。でも、この間のこともあって、できれば良介くんの傍にいたいと思ったんです。」



私が、そう言うと橘さんは表情を緩めた。



「なるほど。良介が好きになった理由が分かった気がします。」



そう言って、目の前にあった紅茶を口に運んだ。
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