らっく!!


「無理…!!」


今の今まで“先輩”だったのに呼び捨てとか普通に無理だし!!恥ずかしいっ!!


「じゃあ離さない」


それは困る!!もの凄く困るっ!!


先輩の手は腰とか背中とか、とにかく私の体を捕らえている。


居心地は確かに良いけど、今は羞恥心のほうが勝る。


あーっ!!

本気で悩みだす私の頃合を見計らって先輩はパッと両腕を離した。


「しょうがないな…ほらっ帰ろ?」


「あっ待って!!…っ…愁…!!」


置いていかれそうになって小走りで追いかける。


「………」


愁は私の顔をマジマジと見つめポカーンと口を開けていた。


あれっ?


なんか変だった…?


「愁…?」


急に不安になって愁の名前を再び呼ぶ。


「反則…っ…!!」


心なしか顔が赤いような…。


もしかして…!!


「照れてる…?」


「ばっ…!!ほらさっさと行くぞっ!!」


隠しきれてないよ?


愁は私の手を無理やりひっつかみ歩き出した。


夏休みのある日―…


私達は恋人になった――…。


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