らっく!!



ずっと待ってた―…。


春の息吹を感じながら。


ひたすら待ち焦がれていた―…。


傍にいてくれる人。


手を差し伸べてくれる人。


俺に愛を教えてくれる人。








「愁?」


いつまで経ってもそのまま動こうとしない俺を心配してか美弦が不安そうに背中をさする。


「好きだ」


俺は大丈夫だ。


美弦がいるから。


今のこの幸せはあの辛い日々があったからだ。


きっと無駄なんかじゃない。


いつか…聞いてもらおう。


俺の過去もすべて受け入れてもらおう。


未来を繋いでいくのは俺と美弦なんだから。



「…これからはちゃんと言ってね?」


「わかった」


「じゃあ、早く着替えてね。あっ!!その前にちゃんと汗拭いてね?あとでおかゆ作るから大人しく寝てて!!」


美弦は矢継ぎ早にそう言うと俺の背中を押してベッドルームに押し込んだ。


その後もかいがいしく世話を焼かれた。


不思議と美弦が隣にいるとあの忌々しい夢は見なかった。


この時の俺は“いつか”が予想外に早く訪れるなんて思いもしなかったんだ…。


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