らっく!!

対峙




「ねえ…今日愁の家行っていい…?」


美弦が上目遣いで遠慮がちに尋ねる。


「…どうした?」


「あのね…もうすぐ期末でしょ…?それで…勉強教えて欲しいなって…」


顔を赤くしてモジモジと言う美弦は多分、いや確実に自覚がない。


普通男と女が密室でやることなんてひとつだろ?


「いつもは大原に教わってんだろ?」


「うん。でも最近バイト増やしたみたいで私に構ってる暇なんてないみたい…」


しまった…。益々悪い状況だ…。


「だめ…?」


断られると思っているのか美弦の声が段々と小さくなっていく。


美弦のお願いを断るはずがない。


「いいよ。教えてやるよ」


俺は浮ついた心を隠し笑顔で答えた―…。








「はあ…」


「何だよ。欲求不満か?」


盛大な溜め息をつく俺に匡人がニヤニヤと茶々をいれる。

「うるせ―」


デリケートな問題に土足で入ってくるな!!


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