らっく!!



「わたしは……少し違うとは思ってる…」


コーヒーカップを置いて俺の目を真っ直ぐ見つめた。


「少なくても私には高屋先輩が美弦と別れたがっていたようには見えなかった。なによりあの人は…美弦を本当に大事に思っていた。手離すとは思えないのよね…」


「俺も同感だ。あいつとは付き合い長いんだ。大抵のことなら把握してる。だけど最近おかしいんだよ。あいつ…」


俺はテーブルに肘をついて手のひらに顎をのせた。


「おかしいって…?」


「頻繁に実家に出入りしてるらしいんだ」


大原は益々首をひねり始めた。


「別に実家に帰ってもいいんじゃない?大体あの歳で独り暮らしのほうがおかしいんだよっ!!」


僻むなよ。みっともない。


「あいつはあそこを毛嫌いしていた。だから家をでたんだ。今更戻るなんておかしいだろ?」


「つまり…?」


「そう―…何か裏があるってことだ」


これだけは確信を持って言える。


あいつはまだ美弦ちゃんのことを―…。


まだ未練がましく指輪を持ってるのがいい証拠だ。


「愁は美弦ちゃんと別れる気なんてなかった。でも別れなくてはいけない状況に追い込まれた。まっ、こんなところだろ?」


「なによ!!その追い込まれた状況って!!」


俺の的確な推測に納得のいかない大原は再び声を荒げ始めた。


「だからその追い込まれた状況を俺とお前で調べんだろうが」


「はっ?」


ポカーンと口を開けている大原を尻目に話を進める。



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