17歳の不良と6歳の殺し屋
ボーっとする頭で私はハリスの言葉を聞いた。

「俺さ、こんなに時間が長く感じたのは初めてだぜ」


細められた目でハリスは喋るが私にはなんだか理解できなくて、そのまま彼の言葉を聞いていた。

「お前に出会う前の俺らってさ、いっつも任務を淡々とこなしていくことしかなかったんだ。俺、翡翠があんなに笑ってる所なんか…いや、さっきみたいに声を張り上げるなんて見た事なかったぜ」

「……」


「翡翠ってさ、あんな歳なのに、なんつーのミステリアスな色気がある…なんていう話しが持ち上がるくらいに大人なんだよ。叫んだり慌てたり、怒ったり笑ったり。そんな表情なんかなかった。ただ、静かに口元を上げるだけで。その目にはなんにも映っていなかった。信じられるか?」
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