イケメンゴースト

心臓が破裂しそうなくらい
ドクドクいってる。


 「好き」


そう一言だけ言って
私の手から水槽をとると、
水をくんでくれる夏。

私は、その大きな背中に
後ろから抱きついた。

「夏。私も大好き!」

「うわぁ!」

夏は体勢を崩して
転びそうになる。

「どぅした?」

「ううん。…好き。」

「俺も好きだよ。」

夏は向きを変えて
私の方を向くと
抱きしめてくれた。

「夏…」

「ん?」

「…水、溢れてる。」
「あぁ! ごめんごめん。」

急いで私を離すと、
蛇口をひねって水を止める。

「夏、かわいい」
「…うるさい。」
顔を赤くして、
私の目を隠すと
額にデコピンされる。

「じゃあ続きやろ?」

「うん。」

夏は足早に
歩いていってしまう。

私はそのあとを
走って追いかける。

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