イケメンゴースト

  「どうかした?」
  「ううん」
心配してくれる夏に向かって首を横に振る。

「授業中とか何かあったらメールして」
「うん」
そう言って2人は、少し離れたお互いの席に座る。


何事もなく時間は過ぎて
放課後になった。
「夏は部活やるんでしょ?」
心配して来てくれた夏に問いかける。


「あぁ。久しぶりにやろうかな」
「陸上?バスケ?」
「今日は…陸上がいいかな」
「うん。頑張ってね」

「杏は先に家、帰ってていいよ」
「いや、外のベンチで夏のこと見てるよ」
体のことを心配してくれる夏に向かって
笑顔を見せると
“俺の上着はおっとけ”
と言ってウィンドブレーカーを貸してくれた。

ウィンドブレーカーからは
甘くて爽やかな夏の匂い。
でも、太陽の光と
   砂と
   汗の匂いも少しする。  
そんな上着を抱きしめて
夏と一緒に校庭へ向かう。
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